左が今回のホストのデイビット。SEを辞め現在ジャングル在住。
ケンタッキー州ボウリンググリーンという街に到着。
この街の名前は調べるまで聞いたこともなかった。この世界一周中に出会った米国人の間ですらこの街の知名度は低かった。じゃあ何故この街を訪れたか、世界一長い洞窟群のあるマンモスケーブ国立公園に行きたかったからだ。
でもこの街にも有名な名所は、ある。西ケンタッキー州立大学が街から歩いてすぐにある。この大学は100年以上の歴史があり国際的にも著名らしい。街に着いた翌日ヒマだったので行ってみたがたしかに歴史を感じる建物がいくつもあり見応えがあった。夏休みなのか学生をほとんど見かけなかったが。
さて、僕はタクシー代をケチってグレハンのバス停からこの街まで歩いたのが、これが失敗。軽く2時間以上は計20kg以上はあるバックパックを背負って歩いた。暑さと荷物の重さの二重波状攻撃で死ぬかと思った。
僕はシカゴで何人かのホストにカウチサーフィンリクエストを送っておいた。このリクエストを送るタイミングとして新しい街に着いた後では少し遅い。即返信がくるなんてかなり稀なので、1〜3日はWi-Fi付きのホテルに泊まって(or カフェなどに入って)返信を待つ、ということになってしまう。だから当然一番良いのは前の街で次に訪れる予定の街に住むホストを見つけておいてしまうことだ。そうすればホテルに泊まる必要はなくなる。
もし各国で携帯などで常時ネットが使える状況を確保しているのなら、その限りではないが。
僕は死ぬ思いで歩きようやく街に着き、ネットが使える場所を探そうとした。しかし何やら様子がおかしい。ほとんどお店のシャッターが閉まっている。まさか….。。そう、今日は土曜だった。海外における週末はほとんどのお店が休みを取る。大国アメリカも例外ではない。
ホストからの返信を確認しようにもカフェも何もやってなくてインターネットが使えない。挙げ句の果てにはこの街は観光客が少ないためか、ホテルすら閉まっている模様。八方塞がりだった。暑さ×重さ×休日、というまさかのトリプル波状攻撃に合い(とゆーか凡ミスの連続で)、僕はこの時点で一度死んだ。
そんなとき、銀行のATMコーナーを発見。無人だ。週末でほとんど人通りもなさそうだったので今夜はここで寝袋に包まって寝ることにした。そう決めた最大の理由は、クーラーがガンガンに効いていたから。外暑すぎ。
この日の夜、僕は一人で貧乏旅行者の定番”サブウェイ”で一人さみしく済ました。米国のサブウェイは約5米ドルで結構大きめの、しかも野菜モリモリのサンドイッチが食べられるので米国横断中はよくここで食事を済ませていた。
ただでえさえ栄養偏りがちな米国の食事だが、その上さらにメシ代をケチっている僕は完全に野菜不足野郎だった。そんな僕たち貧乏旅行者にとってサブウェイはとても有り難い存在。神。
つか、どうでも良いけど、”米国”って書くんだから少しくらいお米を食えよ。どうでも良いけどさ。。
そんな感じで僕は、メシはサブウェイ、シャワーは公園の噴水、寝床は銀行のATMコーナーという生活でこの週末を乗り切った。しかしこの生活、予想以上に快適だと思ってしまった。身なりは完全にそうなっていたことだろうが、あと一歩で心もルンペンになってしまうところだった。
そうして週明けの月曜日、カフェがオープンしたと同時に駆け込みホストからの返信をチェック。神様は僕を見放さなかった。一人からAccepted(快諾)の返信がきていた!!!!!!!!ヤッター!!!!!!!!!!!
今回Acceptedしてくれたホストの名前は、David(デイビッド)。
年齢は49歳と僕より一回り以上も歳上の男性だ。
「15時過ぎには向かいに行けるからそのカフェで待っていてくれ。返信が遅れて申し訳なかった。俺は今ジャングルの中に住んでいて電気のない生活をしているからネットもないのだ。」とメッセージがあった。
ジャングルの中に住んでる…?
そういえばこの街のホストを探していたとき、ジャングルに住む男なんて面白そうだなって思いリクエストを送ったことを思い出した。何だか会うのが楽しみでもあり正直不安もあった。
待ち合わせの時間になり、デイビットが車で登場。軽く挨拶を済ませ僕らは早速彼の家へ向かった。僕たちは街からどんどん離れ、郊外へ。そして途中から未舗装道路に変わり、森の中を突き進んでいった。
「大丈夫かな…森の中で身ぐるみ剥がされるってことはねえよな…」カウチサーフィンという後ろ盾があるものの、僕は内心びびっていた。どんどん道じゃねーとこ走っていくし。
そうこうするうちに何やら木造の建物が見えてきた。どうやらここがデイビットの家のようだ。
ビールの空き缶などが玄関のような場所の前に散乱している。それを見て、ここで誰かが生活してることが伺えた。でも、玄関のような場所の様子を見るに快適さはそこに微塵も感じられず僕はこの時点で住みたいと全く思わなかった。
蚊も多いし。
玄関のような場所から建物の中に入ると、まず目に飛び込んだのがスタンド照明。….電気あるじゃん。でもそれ以外の電化製品は一切なかった。
デイビット「料理をするなら適当に周りから木を拾って使ってくれ。トイレは適当にその辺の木の陰で。冷蔵庫は適当にそれを使ってくれ。」
ただのクーラーボックスだ。既に中に入っていた缶ビールは当然常温だった。でも僕は外よりマシだってんで買ってきた食料や缶ビールをそこに詰めた。
夜になり、僕たちは常温ビールで乾杯。僕たちはお互いのバッググラウンドなどを話し合った。
僕は、何故ジャングルの中に住んでいるのかと彼に問うと、
デイビット「元々SEだったんだ。毎日バリバリ働いていたが、そんな仕事に追われる人生に疑問を感じてしまった。だから仕事を辞めて電気のないこのジャングルの生活を始めた。ここは叔母たちが昔使っていた別荘なんだ。」
じゃあ今はどうやって生計を立てているかと聞くと、そこまでは教えてくれなかった。何とかなるもんだ、の一点張り。でもそのときのデイビットの表情は、快適とは言えないジャングル生活を嘆く、というよりも清々しい表情をしていた。今の生活に満足している様子だった。
デイビット「ところで、日本で起こった大震災のときコウイチはどこにいたんだ?」
この質問は世界一周中によくされた。
デイビットはこの歴史的災害にとても心を痛めていた。僕は自分が知っているだけの震災後の日本の状況を拙い英語で彼に説明した。彼はずっと相槌をしながら聞いてくれた。そんな話をしながらこの日はジャングルに住む男と過ごした。
翌日、僕らはデイビットの車でマンモスケーブ国立公園に向かった。
マンモスケーブ国立公園まではタクシーを使う以外に手段がなかったので、本当に有り難かった。
彼はその道中、道を歩く女性を発見すると、少し減速する。その女性らをゆっくり見るためだ。50歳目前となった今でもその辺はどうやら現役のようだ。また、この間女性を口説くための表現方法などを僕に教えてくれた。
デイビット「とりあえず、女性に対しては”sweet”って言っておけばいい。Thank you, sweet!って感じ。それと男性には”Dude”って使っておけばいい。」
僕「なるほど。Thank you dude!」
デイビット「そうそうそんな感じ!Dude!!!!!!!!!!!」
そんなんで女性は喜ぶのか疑問だった。そうこうするうち僕らはマンモスケーブ国立公園に到着した。僕たちは午後からの洞窟探検ツアーを予約。ツアー開始時刻始まで2人で座って待っていた。
僕「そういえばデイビットってジャック・ニコルソンに似てるよね。ほら、映画バッドマンでジョーカー役のさ。」
彼はすこぶる嬉しそうな顔をした。すげえ照れてた。
そうしてツアーの時間になり、僕たちは洞窟の中に入っていった。ツアー客は全部で20人くらい。先頭で男性ガイドが洞窟内を案内し、最後尾には女性ガイドがついた。デイビットはこのツアー中僕を無視でずっとその最後尾にいる女性ガイドに話かけていた。もはや、ジャックニコルソンというより、ただのスケベおやじだった。
そうして約2時間近く洞窟内を歩きまわった。ちょっとツアー客が多く自分のペースで観光が出来なかったので大満足とは言えないが、そこそここのツアーを楽しめた。
一方、デイビットは女性ガイドと携帯番号の交換までこぎ着けていた。そして番号が書かれた紙を彼女から受け取り、彼は言った。
デイビット「Thanks you, sweet!!」
マジで使ってる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
しかも彼女もどことなく嬉しそうな感じだ。マジで”sweet”って使えるのかなあ….。
僕が米国で出会ったジャングルに住む男は、ジャックニコルソン似の凄腕ナンパ師だった。いやあ、旅の出会いって楽しいなって改めて思った。
-Ko1
*世界一周の紀行写真はこちら*
【今回のホストのプロフィール紹介】
僕が世界中でお世話になったホストを紹介するコーナーです!!!!!!!!!!
- 名前
- David(デイビッド)
- 年齢・性別
- 49才・男
- 職業
以前SEと言っていたが、今は不明。教えてくれなかった。
- 国籍
- USA/ケンタッキー州
- 日本のイメージについて
- 東日本大震災の被災者にえらく胸を痛めてくれた。
- このホストを日本人にオススメするとしたら星いくつ?
★★★☆☆
歳はひとまわり以上違うが、それを感じさせない。女の子が大好きで僕に女の子の口説き方を色々教えてくれた。しかもそれを実践して成功したときはマジで「先生!!!!」って呼びそうになった。また、東日本大震災の被災者に胸を痛めてくれる優しき一面も。
デイビットの家。手前の入り口が玄関らしき場所。
マンモスケーブ国立公園の洞窟内の写真。コウモリいっぱい。