アメリカノヒカリトカゲ/前編【アメリカ|ニューオリンズ】

DSC_2166初の黒人ホストであるチャイルド。彼にとっても僕が初の日本人サーファー。

アメリカ東海岸の旅の最後に、ニューオリンズに来た。
ここはジャズ発祥の地であり、世界中の観光客が集まる大観光地だ。

僕はボウリンググリーンからバスで5〜6時間ほど走り、夜21時頃ここに到着。この時点でカウチサーフィンのホストが見つかってなかった僕は、ニューオリンズの夜の町へ宿探しに出た。

バスの経由地として寄ったアトランタ辺りから、急に南部特有のブラックアメリカンの色合いが濃くなった、そのせいかはさておき、夜の街は薄気味悪くとても怖かった。有名なジャズBarがあるフレンチクォーター周辺は夜も絶えず賑わっているのだが、町の外れにあるバス停周辺は静かだし、浮浪者もたくさん見かける。都会の夜は物騒だ、ってのはこの国に限らず世界中で共通することだと思う。

そんな中人通りの多い場所まで何とか着いたのだが、この周辺じゃ僕の予算じゃとてもじゃないが泊まれるホテルなどなかった。最終手段でマックのドリンクバーで夜通し過ごすか、と思い22時半頃入店したものの、23時であえなく閉店とのこと…。。。

「器が小さいドケチなバックパッカー百選」に名を連ねる僕は、たかだか30分の滞在でドリングバー代1ドルを使ってしまったことを激しく後悔した。

もはや、ここを離れる(=また薄気味悪い方面へ….)ほか選択肢はなくなってしまった。せっかく来たのに….。

そんで結局僕は、郊外にあるユースホステルをネットで予約、安全面を優先しタクシーで向かうことにした。このときタクシー代は13ドルだったのだが、「今はドルキャッシュを持ち合わせてない」ってことで野口英世氏を1枚投入(このとき1ドル80円ほど)したところ、受理された。さっきのドリングバー代を若干取り返し、ちょっとほくそ笑んだことは言うまでもない。

しかしトラブルは続いた。僕は当日の当日の宿泊予約だったためか、今夜の予約はされていないという事態が発覚。

「もう夜の街を歩きたくない!!」という一心で僕はレセプションのスタッフに泊まらしてくれと懇願、庭なら良いという了承を得ることになんとか成功。ちょっと寒かったけどここなら外にいるより安全だ、僕はなんて幸運なんだくらいに思っていたのだが、庭に行ってみたら他に2人ほど寝てる奴がいた。庭に泊めるなんて意外と普通なことっぽかった。そうして僕のニューオリンズの初夜は、そいつらと川の字となりながら無事ふけてゆくのだった。

翌朝、雨が降ってきて起床。超濡れた。寒いし眠いし濡れたしで僕はテンションが低かった。しかしこの後、リクエストの返信を確認したところホストからAcceptedの返信がきていたことで一気にテンションは回復。このAcceptedの返信がくるとすげえ嬉しい気持ちになる。この嬉しさを例えるなら、就職や資格などの試験の合格発表で、無事合格をもらえたときのような気分だ。

米国は宿代も高いので、カウチサーフィンは費用的な面で考えても本当に素晴しいサービスだ。正味な話。

今回のホストは、Lionel(リオネル)。
僕にとっては初の黒人のホストだ。
今回彼にリクエストを送るとき、黒人に対する固定観念(何となく怖いというイメージ…)があった僕は、リクエストを送ることに億劫な気持ちが少しあった。

しかし、彼はこのときすでに60人以上もの(2013年10月現在は200人)サーファーの受け入れ経験があり、しかも全てポジティブ評価。カウチサーフィンの利用回数が多くなってくると、良いホストでもネガティブ評価をつけられることは珍しいことではない。これはどちらが悪いとかではなく、国籍や文化などが違うとどうしても相容れない部分があるのだろう。だからこれだけの人数のサーファーを泊めているにも関わらず、全てポジティブ評価ってのは本当に良いホストなのだなと判断。僕はリクエストを送ることにしたのだ。

さて、この日僕は昼前からニューオリンズの観光中心地を小雨が降るなか見て回り、夕方くらいに彼の家に向かった。彼の住む家は、中心地から歩いて20分ほど離れた閑静な場所にあった。僕は家の前に着き玄関をノックすると、予想とは裏腹に、欧州系の白人が出てきた。

欧州系白人「Hey, Are you Lionel’s Couch Surfer?!!」(訳:リオネルのCSの友達?)
「I am! I’m Koichi and Japanese Couch Surfer!」(訳:うん!名前はコウイチ、日本人だよ!)
欧州系白人「Great! Welcome my place!!!」(訳:ようこそ我が家へ!)

そんなやりとりのなか家に入ってみると、僕を迎えてくれた奴を含め白人男性3人、女性1人が僕を迎え入れてくれた。

欧州系白人「彼らも皆と君と同じでリオネルのカウチサーフィンの友達で先日から一緒に泊まっているんだ。リオネルは今外出中だがもうすぐ戻ってくると思う。」

どうやらリオネルというホストは、自分の家をシェアハウスという形で複数のサーファーに提供しているらしい。僕は今までホストと1対1という経験のみだったから、他のサーファーと一緒に生活をするこのスタイルは初めてで新鮮な思いだった。

しばらくすると、リオネルが戻ってきた。

リオネル(チャイルド)「コウイチ!ようこそ我が家へ!!俺のことは”チャイルド”と呼んでくれ。皆もそう呼んでいるから。ニューオリンズを楽しんでってくれ!!」

自己紹介を終えそのまま僕らはチャイルドに連れられご飯を食べにいった。
そしてその夜、1LDKほどしかない彼の家のリビングで、皆それぞれリビングに毛布や寝袋を敷いて雑魚寝スタイルで寝た。

この家のスタイルは、僕らサーファー達はフレンチクォーターに観光に行く奴は行くし、ジャズバーにLIVEを見に行ったり、部屋でくつろぐ奴は適当にソファでくつろいでるし、時間が合えば何人かで近くのレストランやバーに行ったりと各々楽しむ。それはホストであるチャイルドがいるいない関係なく自由に。こんなホストもいるんだなあ、とカウチサーフィンの違う楽しみ方を知った。

また、チャイルドは自分の家を開放するだけじゃなく、しっかり一人一人と会話する時間も必ず設けていた。僕も到着した翌朝は彼に連れられ近くのカフェで2人だけで会話をしながら朝食を取った。

彼の雰囲気はとてもあたたかく、「黒人」という僕の当初の固定観念など微塵も感じなかった。
それは彼独特のものであり、黒人全てに共通することではないだろうけど、人との出会いにおいて先入観で全て決断してしまうのはもったいないなと確信を覚えた。それほど彼の雰囲気は圧倒的にあたたかかった。

さらに言うと、このとき他のサーファーの半数以上が英語をネイティブで話す旅行者だったため、僕のクソ語学力でこの会話に参加するのは至難だった。そんななかの二人だけの会話の時間を取ってくれたのはとても嬉しかった。

こうやって複数の外人と一緒に遊んでいるときほど、語学力のなさを嘆くことはない。もっと英語力があれば、もっともっとこの時間を楽しめるのだろうなあとつくづく思う次第だった。

そんな感じで僕は、数日このメンバーでこの生活を楽しんだ。しかし、この後僕は、今後の自分の観光スタイルの見直しを迫られるほどの経験をすることになるのだ。

後編につづく。

-Ko1

*世界一周の紀行写真はこちら*

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【今回のホストのプロフィール紹介】

僕が世界中でお世話になったホストを紹介するコーナーです!!!!!!!!!!

名前
Lionel Lombard(チャイルド)
年齢・性別
39才・男
職業

  ライター/コンサルタント

国籍
USA/ニューオリンズ
日本のイメージについて
テレビ番組が面白い。テクノロジーが素晴しい。
このホストを日本人にオススメするとしたら星いくつ?

  ★★★★★

とにかく皆に愛されている。彼と一緒に町を歩けば色んな奴が彼に声を掛ける。カウチサーフィン内においてすでに200以上のポジティブ評価が彼についているが、それも納得の人格者。「もっと英語が使えたら沢山聞きたいことあるのにな…」彼といるときほどそう願ったことはなかった。

DSC_1930さすがジャズ発祥の地ニューオリンズ。街のあちこちでジャズが流れ、こうやってサックスを演奏してる奴がいた。

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