アメリカノヒカリトカゲ/後編【アメリカ|ニューオリンズ】

DSC_2167チャイルドのルームメイトのBrian(ブライアン)。横田基地生まれ。うどんが大好き。

チャイルド編の後編。(先に前編を読んでね。)

ニューオリンズ生活も1週間ほどが過ぎた。この頃になるともはや観光するのも面倒になり、チャイルドや他のサーファー達と昼間は部屋でまったり、夜は色んなBarに飲みにいくって毎日が続いていた。英語がネイティブな奴が常に2〜3人いたので会話はスラング全開で内容が理解出来ないことが多かった。正直結構しんどかった。

それでも、新しいサーファーやチャイルドの知人など新しい出会いや刺激が毎日のようにあったから長居してたわけですが。

そんな中で特に仲良くなった奴がDonghi(ドンキー)。国籍はベトナム人で今は米国のバッファロー在住。大学でデザインを勉強してて今はバケーションを使って米国を周遊中とのことだ。

ドンキーは日本マンガが大好きらしい。芸術性が素晴しい!!!と彼は大絶賛。井上雄彦を特にリスペクトしてて、バカボンドに至っては完全にマニア。バカボンドバカだった。
しかもドンキーはマンガの違法サイトにも精通してた。3ヶ月前に日本を発った僕より完全にワンピースとかの展開に詳しかったから日本語で読めるサイトをいろいろ教えてもらった。おかげさまでチャイルドの家に引きこもる時間がグッと増えた。

ワンピースは未だに追いつけてない。。何でトラファルガー・ローが仲間になってんの?

一緒に生活してたサーファーの中に、Amber(エンバー)ってアメリカ人女性がいて、すげえ親切で楽しい奴なんだけどとにかくデリカシーがない。女性としての恥じらいみたいなものがおもいっきし欠落してて、コーラ飲んだ直後に人前で、そこそこの音量でゲップとかしちゃう女性だ。

そんな女だから平気で僕たちの前で下着姿で寝てたりするんだが、僕はエンバーが寝ている傍に行ってパンティーを凝視しながら「エンバーはAタイプじゃないね」ってドンキーに伝えたら、彼は的を得ていない顔をしながら苦笑した。ちっ。日本マンガが大好きなくせに、パンツ職人田中(日本ギャグマンガの金字塔、稲中より)も知らないのはけしからん。なのでその後、古谷実の素晴しさを夜通しで伝授したった。

こんな感じでこの街の滞在は楽しいちゃ楽しいが、街歩きとかじゃっかん飽きてた。もしここがインドやフィリピンとか、物価の安い国だったら1ヶ月以上は余裕で沈没してたに違いない。

”沈没”とは….、旅行者の本分である観光が二の次になり、なにをするのもおっくうになり、宿に入り浸って動けなくなっている状態を指す。バックパッカー用語みたいなもん。

また僕の場合は、グループ内における英語のコミュニケーションの気苦労や食生活の偏りとかも相まってストレスがたまってた。さぁて、このあとどうしようか。。テンション上がんないなか悩んでいた矢先、ブライアンが僕のことを食事に誘ってくれた。
ブライアンとはチャイルドのルームメイト。彼の父は米国軍人で日本の横田基地にいたため、彼は日本で生まれた。日本語は使えないけど親日でとても良い奴。今現在は本を出版したり写真を撮ったりって仕事をしている。

ブライアン「明日、ロウワー・ナインス・ワードに写真を撮りに行くけど、コウイチもどう?」

このとき僕はその街の名を知らなかった。すぐにウィキペディアで調べた。2005年に発生した「ハリケーン・カトリーナ」で最も被害を受けた街だと知った。ルイジアナ州(ニューオリンズ)の被害は甚大であり、州毎で見た死者の数はアメリカ全体の85%がルイジアナ州の住民で、その中で特にロウワー・ナインス・ワードが大きな被害を受けたらしい。

絶賛沈没中の僕に予定なんてあるわけもないので行くことにした。何となく行っておくべきとも思うし。市街地からチャリで15分ほど行くと大きな川がありそこを渡ると街に着くらしい。

当日、ブライアンにチャリを借り、向かった。川に架かる大きな橋を渡り終えるとすぐに、街の看板が見えてくるのだが、その先の光景を見て僕は目を疑った。「え….、街とゆーか何にもない。。。」正確にいえば倒壊しかけの建物はいくつかあるが、街としては完全に成立していない。僕は呆然と立ち尽くしてしまった。

ブライアン「驚いたろ?日本の被災地はもっとひどいかもしれないけど…。ここは有名な映画俳優などがポケットマネーで街の復興を進めているが、ハリケーン発生から7年経った今でもこんな状態さ。ここはアメリカに忘れ去られた街なんだ。」

ブライアンは定期的にこの街を訪れてるという。写真を撮ることを通しこの街の存在を外に発信していこうとしている。忘れ去られた街と、悲しい大災害を忘れさせないために。

災害発生当時は、大洪水で救援物資は舟にのせて運ぶほどだったらしいが、今は普通に歩けるし車でも周ることも出来る。僕たちは1時間ほどカメラ片手に街を歩いた。

その後、僕とブライアンは前に流れる大きな川を眺めながらお互いの話をした。この川を隔てて向こう岸にはニューオリンズの市街地が見える。高層ビルも見えるしうっすら観光客らしき人々も見える。

「忘れ去られた街….。」なんて哀しい響きだって思った。
同時に、ニューオリンズに1週間以上も滞在してて、ロウワー・ナインス・ワードの存在すら知らなかった自分を恥じた。

ニューオリンズは治安の良い街じゃないけれど、米国を代表する大観光地だ。毎晩のようにジャズが流れるの聴きながら宴が街のあちこちで行われ、観光客で賑わう。その灯は朝まで続いている。そんな市街地から川を一本渡った先で、ひっそりと確実に、忘れ去られていく負の歴史を僕は知った。

この旅を通して、日本とかけ離れた世界を見て行きたいと思っているが、その筆頭が世界遺産を見に行くことだろう。世界遺産はたしかにスゴい。その景観や佇まいですでに、見る人を感動させてしまうものだ。昔見たアンコールワットやタージマハルなんかもそんな感じだった。

でも今回の体験をとおして、観光名所を行って見るだけに留めずもっと文化や歴史にも目を向けて学習しながら旅をしようって決めた。元々そういう旅が好きだったけど、これまで以上にそんな旅にしていこうって思った。しかも幸運なことに、カウチサーフィンはローカル文化を学ぶうえで持ってこいのサービスだ。

何かテンション上がってきた。よし、明日ニューオリンズを発とう。脱沈没!!!!!

-Ko1

*世界一周の紀行写真はこちら*

fotへのバナー

 

【今回のホストのプロフィール紹介】

僕が世界中でお世話になったホストを紹介するコーナーです!!!!!!!!!!

名前
Lionel Lombard(チャイルド)
年齢・性別
39才・男
職業

  ライター/コンサルタント

国籍
USA/ニューオリンズ
日本のイメージについて
テレビ番組が面白い。テクノロジーが素晴しい。
このホストを日本人にオススメするとしたら星いくつ?

  ★★★★★

とにかく皆に愛されている。彼と一緒に町を歩けば色んな奴が彼に声を掛ける。カウチサーフィン内においてすでに200以上のポジティブ評価が彼についているが、それも納得の人格者。「もっと英語が使えたら沢山聞きたいことあるのにな…」彼といるときほどそう願ったことはなかった。

DSC_2238ニューオリンズの市街地。ここは観光客が最も賑わうバーボンストリート。

DSC_2185この光景は、ロウワー・ナインス・ワードでいっぱい見かける。元々は家が建っていたのだろう。

 

couchsurfing-logo

コメントを残す